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はじめに
データソリューション事業部の大山です。
ドローンが最近ニュースなどで取り上げられている理由の一つとして、2022年末から開始されたドローンの国家資格制度があります。この制度は政府によるドローン産業の推進によるもので、資格の種類によっては有人地帯での(リモコンなしの)目視外飛行が可能になりました。
そこで、今回は今注目のドローンと私が取り組んでいるその研究について紹介します。弊社はデータサイエンスに関する会社ですが、ドローンについて研究しています。一見関係がなさそうなドローンとデータサイエンスの意外な関係について、そしてドローンの活用事例について調査を行いました。
ドローンのキ・ホ・ン
それでは、ドローンに関しての基本となる定義や、見たことがある方も多いラジコンとの違いについて確認していきましょう。
ドローンに定義はあるの?
ドローンは複数のプロペラのある飛行体のことで「マルチコプター」とも言われ、広義の「無人航空機」を指します。国土交通省では「飛行機、回転翼航空機、滑空機、飛行船であって構造上人が乗ることができないもののうち、遠隔操作又は自動操縦により飛行させることができるもの」と定義しています。1
あくまで主流はプロペラが4つあるのですが、3つあるいは5つ以上のものもあります。操縦は通常、手元にある操縦機(リモコン)を使います。
ドローンの名前の由来
ドローンは「オス蜂(drone)」を意味し、その由来には2つの説があると言われています。
- ドローンの飛ぶ音がオス蜂の飛ぶ音と似ていたから。
- イギリスの射撃訓練用飛行機「クイーン・ビー(女王蜂)」に形が似ていたから。
ドローンの飛行ルール:国土交通省 ドローンの飛行ルール
無人航空機についてもう少し詳しく!
日本ではドローンは「無人航空機」に該当し、航空法が適用されます。無人航空機にはドローンのほかにもラジコン機、ヘリコプター(農薬散布用)等が該当します。
※無人航空機の中でも、重量が100 グラム未満のものは「模型航空機」に分類されます。私が研究で扱っているのはこの「模型航空機」で、単に重量が100グラム未満なだけで機能としてはドローンと変わりありません。
ドローンとラジコン機・ヘリコプターの違いは?
プロポ(送信機、操縦機)を使った遠隔操作で飛行させるという点ではラジコンとドローンは共通しています。大きな違いは「フライトコントローラー」が有るのか無いのかです。フライトコントローラーにはさまざまなセンサやアンテナがあり、それらを処理するCPUが含まれます。これにより自動飛行を可能にしています。ラジコンは常に人の操作が必要です。これがドローンとヘリコプター、ラジコン機との違いです。
DSがドローンで遊んで何になる?
本題のドローンとデータサイエンスの関係性についてです。その関係性について理解するために、日本のドローンに関する法案の改正に関する話をしたうえで、それを実現する技術やその技術への注目度について見ていきたいと思います。
日本の先進的な取り組み
2021年3月、ドローンであることの実現に向けた航空法を改正に関する閣議決定がありました。それはドローンの「有人地帯上空での補助者なし目視外飛行」(レベル4飛行)の実現です。(同年6月に航空法の改正案が可決・公布されました。)
これまで、ドローンの飛行レベルには目視内での操縦飛行(レベル1)~無人地帯での目視外・補助者なしの飛行(レベル3)がありましたが、有人地帯での目視外・補助者なしの飛行は禁じられていました。
レベル4では有人地帯で目視外・補助者なしの飛行が可能になるため、ドローン本体の自動制御システム・異常検知システムの開発や、ドローンで撮影した画像を自動識別するAIシステムの開発、またリアルタイムで収集されるビッグデータシステムの開発が注目されています。
ちなみに、2023年7月の時点では、欧州や米国ではこの目視外飛行については法整備が間に合っておらず、日本のレベル4が先進的であり、制度のイノベーションが世界で最も早く実現されたことになります。
レベル4に向けたドローン開発に必要なスキル
ドローン開発は大きく分けて、機体に関するハードウェアの部分と、制御プログラムに関するソフトウェアの部分の2種類に分けられます。レベル4ではリアルタイムでの情報処理が必要になります。以下に例を挙げています。これらの処理技術からデータサイエンスに関わる知識やスキルが必要になることがよく分かると思います。
- 点群データ処理
- 画像認識・画像処理
- 時系列データ処理
- 異常検出アルゴリズム
- 自動制御アルゴリズム
ストリーム処理市場の成長
ドローンも含め、あらゆるモノがネットにつながる「IoT」が普及し、リアルタイムのデータが増えています。そこで注目を浴びているのが「ストリーム処理」技術です。ストリーム処理は、継続的に発生するデータをその場で分析する技術のことです。CB Insightsの調査では2025年にも関連市場は473億ドルにもなると予測されています。
ドローン市場と活用事例
Drone Industry Insightsの調査ではドローンの世界市場規模についても見てみると2025年には390億ドルに成長すると予測されており、ストリーム処理と同様に年々伸び続けると予想されています。
ドローンの活用事例としては以下の様なものがあります。
すでによく見られている例も多いかと思います。
例えば、ドローンによる「空撮」などをイメージできると思いますが、ビジネスとして大きく伸びているのは「点検」です。「点検」が必要な分野は、足場が安定していない場所での作業が多く、危険を伴います。現場の人員を危険にさらすことなく、点検やメンテナンスを行うことができるドローンの活用が進んでいます。頻繁に現場の進捗状況やデータを収集する必要のある測量・建築・土木系は、労働力不足や人件費の高騰が深刻な分野でもあるため、コストダウンが期待されるドローンを活用するケースが増えています。
様々な分野で活用が広がるドローン市場ですが、人材が足りていない状況です。(2020年までに国内で14万人ものドローン操縦士が必要とされていましたが、その半分もいない状況)
まとめと研究紹介
今回の記事で触れたように、ドローンの国家資格制度が始まった理由の一つに有人地帯での目視外飛行の実現があり、そこにはストリーム処理技術やデータサイエンスに関する技術やスキルが必要になることがよく分かりました。
私の研究では、紹介したようなモノが持つ情報をリアルタイムで受け取り処理・分析する部分に注目し、市場の急成長が見込まれているドローンを掛け合わせ、次世代のデータサイエンティストが活躍できる市場開拓とともに最新動向の調査と実践をテーマとしています。
将来的にどんなことができるかは調査段階ですが、直近のゴールとして、リアルタイムでドローンがもつセンサの情報を(一旦PCが)処理し、ドローンを制御することを考えています。
以下にこれまでの成果をまとめます。画像認識による自動制御になります。次回以降の記事では以下について投稿していく予定です。 ※ドローンの操作にはPythonを使用しております。
- PCからドローンにWi-Fi接続
- ドローンから送られてくるステータス情報(HKデータ)を取得
- PCでドローンに離陸・着陸を指示
- PCでドローンに搭載されるアクロバット飛行を指示(宙返りなど)
- ドローンのカメラ映像をライブ配信するWebアプリケーションの開発
- 物体の自動追跡(物体がカメラフレームの中央にくるようにドローンを移動させる)
こちらの研究については弊社のInstagramでも紹介しておりますので、是非ご覧ください。
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